ボークと言えばピッチャーの反則行為ですが、「捕手のボーク」とか「捕手ボーク」って聞いたことありませんか?ここではほんとに「捕手ボーク」ってあるの?ということについて解説したいと思います。
「捕手ボーク」の一般的な認識
一般的に「捕手ボーク」として認識されているプレイ敬遠の時に起こります。
敬遠の時にキャッチャーがキャッチャーの枠の外に、
はよ出てしまうことやろ
まぁそんな認識でもいいんでしょうが、この際正確にどういうことなのかを覚えましょう。
「捕手ボーク」とは何か
まず、「捕手ボーク」とは
故意四球が企図されたときに、投手がキャッチャースボックスの外にいる捕手に投球した場合。
と定められています。
故意四球は敬遠のことですね。
キャッチャーズボックスはキャッチャーが座る位置にある囲いのことです。
これだけでは少しわかりにくいのですが、このルールには注意書きがあります。
その注意書きがかなり重要なんです。
捕手ボークの注意書き
捕手ボークの注意書きは以下のようなものです。
〝キャッチャースボックスの外にいる捕手〟とは、捕手がキャッチャースボックス内に両足を入れていないことをいう。したがって故意四球が企図されたときに限って、ボールが投手の手を離れないうちに捕手が片足でもボックスの外に出しておれば、本項が適用される。
公認野球規則 6.02a12【注】より引用
この注意書きはしっかり理解しないといけません。
ここでまず気を付けるのは
「捕手がキャッチャースボックス内に両足を入れていない 」
ということ。
よく野球でアウトコースに構えるときって、キャッチャーって線からはみ出してますよね。
それはもちろん問題はないのです。
先ほどの注意書きの続きを見てください。
故意四球(=敬遠)が企画されたときに限って、 ボールが投手の手を離れないうちに捕手が片足でもボックスの外に出しておれば、本項が適用される
ということなんです。
なので、敬遠以外の時には片足は出ていても問題ありません。
スクイズのウエストなんかも敬遠じゃないのでOKですね。
「捕手ボーク」は厳密に捕手のボークなのか
さんざん「捕手ボーク」と言ってきましたが、もう一度その部分のルールをよく読んでみましょう。
故意四球が企図されたときに、投手がキャッチャースボックスの外にいる捕手に投球した場合。
公認野球規則 6.02a(12) より引用
【注】 〝キャッチャースボックスの外にいる捕手〟とは、捕手がキャッチャースボックス内に両足を入れていないことをいう。従って故意四球が企図されたときに限って、ボールが投手の手を離れないうちに捕手が片足でもボックスの外に出しておれば、本項が適用される。
これが成立するのは
「故意四球が企画されたとき」
に
「ボールが投手の手を離れないうちに捕手が片足でもボックスの外に出しておれば」
本項が適用されるんです。
本項とは
「故意四球が企図されたときに、投手がキャッチャースボックスの外にいる捕手に投球した場合。」
ですね。
キャッチャーがキャッチャーズボックスから足を出しているからボークなのではありません。
その足を出している捕手に対して、故意四球をするために投手が投球したからボークになるんです。
つまり、投げた時点で故意四球のボールだったと判断されて初めてボークになるんです。
捕手が片足を出しているからと言って、故意四球かどうか判断できません。
片足を出していて敬遠する雰囲気であっても急にど真ん中のストライクを投げてくる可能性もあります。
投手がキャッチャースボックスの外にいる捕手に投球した場合にボークになります。
記録も当然投手にボークがつきます。
「捕手ボーク」は捕手がきっかけとなるのでそう呼ばれていますが、ルール上は最後は投手が投げたからボークという位置づけです。ただ、この呼び方についてはわかりやすくていいのかな、と個人的には思っています。
「捕手ボーク」は遺産になる
これだけ解説しましたが、2018年から日本プロ野球(NPB)、社会人野球、大学野球では申告敬遠が採用されたので、この「捕手ボーク」が起こることはまずないでしょう。
高校より下の野球ではまだ申告敬遠が導入されていないので、この「捕手ボーク」の可能性は残ります。
全国のキャッチャーの方々は是非このルールを頭に入れて敬遠を行ってくださいね。
ピッチャーの人は、敬遠の時に投げる前にキャッチャーが外に出てるなー・・・と思ったら、プレートを外してタイムをかけてキャッチャーに教えてあげてください。(投げてないからまだ「捕手ボーク」じゃない!ですね)