野球をやっていると、一塁ベースの駆け抜け方をどこかのタイミングで教わるのではないかと思います。
今回は、その駆け抜け方について解説します。
一塁ベースの駆け抜け方の基本
おそらくですが、多くの方が小学校時代に少年野球で教わるのではないかと思います。
一塁ベースを駆け抜けるときは、ファールゾーンの方へ駆け抜けるんだ!
はい、もちろんその教え方で全然問題ないです。
ただ、なぜそう教えているのか、というと、できるだけ安全に考えた場合、そうするのがベスト、という考え方から来ています。
駆け抜ける際のルール
じつは駆け抜ける際のルールはもちろん決まっていますが、実はファールゾーンの方に駆け抜けなければいけない、というルールはありません。一塁を駆け抜けてそのままライン上をフェアーゾーンの方に出て走っていても、一塁へすみやかに帰れば問題はないのです。
公認野球規則では5.09b(4)の【例外】として、打者走者が1塁に走るときに直ちに変えることを条件としてオーバーラン・オーバースライドしてタッチされてもアウトにされない旨の記述があります。また、本規則における用語の定義の57として、オーバースライドまたはオーバースライディングとして定義されており、その中で、本塁から一塁に進む時に限って、すぐに一塁に戻ることを条件に塁を離れることが許されています。
どちらにも、ファールゾーンに駆け抜けなければならないなどは書いていません。
駆け抜けた後アウトになるケース
駆け抜けて、フェアーゾーンにいる場合にアウトになるケースは3つあります。
- ただちに一塁に帰塁しなかった場合
- ベンチに戻ったり、守備につこうとした場合
- 二塁に進もうとする意志を示した場合
全て、審判の主観で判断することになるものばかりですが、最も実際に起こりえるパターンは3のケースですね。
ではひとつずつ説明していきます。
ただちに一塁に帰塁しなかった場合
ある程度戻る時間は審判は見てくれると思いますが、あまりにも遅いとインプレーと判断されることになります。
遅延行為と判断されるなど、あまりにもひどい場合にこのように判断するのだと思いますが、実際にこのパターンに出くわすことはあまりないですね。
ベンチに戻ったり、守備につこうとした場合
アウトになったと勘違いして、ベンチに戻ったり、チェンジになったと思って守備につこうとした場合に、守備側がアピールプレイをすることでアウトにすることができます。
これもベンチやランナーコーチなどが事前に大声で止めたりすることが多いので、実際にはそうなる手前で抑制されることが多いと思います。
二塁に進もうとする意志を示した場合
これが一番多いパターンです。
一塁へ暴投するなどが起こった場合に、駆け抜けた後二塁へ行こうとしたが、暴投をキャッチャーがカバーしており、二塁へ行けないと判断していくのをやめる。といったケースです。
この場合は二塁へ行こうとした時点で、インプレーと判断されるので、一塁へ戻るか、二塁へ到達するかする前にタッチされるとアウトになります。二塁へ進もうとする意志が確認されたからですね。
ここで認識しておいた方がいいことは、ファールゾーンへ駆け抜けた後、フェアーゾーンにでていなくても、二塁へ進もうとする意志が確認された場合はインプレーと判断されるのでそこはご注意ください。決してファールゾーンからフェアーゾーンに出ていないから大丈夫ということではありません。
東京オリンピック 準決勝での一コマ
東京オリンピックの野球の準決勝だった韓国戦で近藤健介選手(日本ハム)が一塁を駆け抜けた際に、フェアーゾーンへ駆け抜けていくというプレイがありました。
その際、韓国の野手はフェアーゾーンに出ていることからタッチをしてアウトであることをアピールしましたが、判定はセーフでした。
リプレイ映像を見れば明らかでしたが、近藤選手は駆け抜けた後二塁へ進む意思が全くないことがわかります。
近藤選手はこのルールを把握していたと考えて間違いないでしょう。審判もしっかり把握しています。
このルールを語る上で非常に良い例だったと思います。
なぜファールゾーンへ駆け抜けるように指導するのか
もうお分かりいただけたかと思いますが、これらの判断は全て審判の主観によって判断されるものなので、フェアーゾーンへ入って駆け抜けることによって、二塁へ行こうとしたという誤解を与える可能性を低くすることができるということなのだと考えます。
基本的にはファールゾーンへ駆け抜けることで良い
守備側との交錯や事故防止などの場合で避ける場合はこの限りではないと思いますが、 打者としての基本はこれで問題ないと思います。
前述の東京オリンピック準決勝でのプレイのようなこともあるので、フェアーゾーンに入らないことで誤解を与えることもなくなると思います。
ただ、ルール上はフェアーゾーンに入っていても問題ないということは覚えておいて損はないかもしれません。
接触をさけるためなどの事情によってフェアーゾーンに入らざるを得ないこともあるでしょうし、ケガ防止のためにはフェアーゾーンに入った方が安全ということもあると思いますので。
フェアーゾーンへの駆け抜けは注意して駆け抜けるようにせなあかんでー