同じ塁にランナーが2人いた場合は、守備側としてはどう対処すればいいのでしょうか。状況によって2つのパターンがあります。ルールがわからずどちらのランナーにもタッチすればとりあえずアウトは取れますが、同じ塁上にずっとランナーがとどまっているとも限りません。しっかりとルールを把握して、対処できるようにしておきましょう。そんなわけで今回は、同じ塁にランナーが2人いるときのルールについて解説したいと思います。
まず規則の説明から
打者が打って打者走者となった場合の規則は、公認野球規則5.06b(2)に定められています。
2人の走者が後位の走者が進むべき塁に触れている場合、その塁の占有権は後位の走者に与えられる旨が記載されています。このルールをもとに説明していきます。
ランナーが2人いる状況
通常であれば、塁上にランナーは1人しかいません。
しかし、どちらかのランナーが元の塁に戻り、もう片方のランナーが次の塁に進んだ場合に、このような状況が発生します。
その場合はどっちにタッチしたらええんや
どちらにタッチするのが正しいかは状況によって異なってきます。
1塁に2人いる場合
1塁にランナーが2人いる場合。この場合は一番簡単ですね。
というか1塁にランナーが2人いるのは一番起こりにくいです。
元々1塁にランナーがいて、打者が1塁に走ってきました、と。
で、その打球判断に迷った1塁ランナーが塁に戻ってきて、打ったバッターは1塁に到達したときぐらいでしょうか。
この場合は1塁の占有権は打者にあります。
いわゆる「フォース」状態。つまり打者は1塁に行くしか選択肢がない状態ですので、1塁の占有権は打者にあります。
1塁走者は1塁の占有権がないフォース状態ですので、2塁に送球されるか、タッチされればアウトになります。
1塁に2人いる場合の例がありました
これを説明するのに素晴らしい動画がありましたのでご紹介したいと思います。
キャッチャーがバントの小フライをわざと取らずにダブルプレーを狙った場面。
一塁ランナーは小フライを取られると思ったので、一塁についたまま。打者はキャッチャーがバウンドさせたのを見て、あわてて一塁に走りだしたという状況。
キャッチャーは小フライをいったんバウンドさせてから捕球し、一塁へ送球します。
一塁手も冷静に、まずは占有権のない一塁走者にタッチしてアウトにします。
その後、一塁ベースを踏んで打者をアウトにします。
キャッチャーも一塁手も完璧にルールを理解しているプレーですね。
そして忘れてはならないのが、それを冷静にさばいている一塁塁審もさすがです。
走者アウト・打者アウトを完璧にさばいています。
ちなみに一塁手が先にベースを踏んでしまうと、打者が先にアウトになることで、その瞬間に一塁走者が一塁の占有権を得ることになり、一塁走者をアウトにすることが出来なくなります。
また、バントの小フライはインフィールドフライにはなりませんので、キャッチャーがわざとバウンドさせているのも全く問題ないプレイです。
守備側と一塁塁審が全ての瞬間で判断を間違えなかった素晴らしい例ですね。
これは簡単に見えるけど、結構高度なプレイなんやで
2塁に2人いる場合
2塁にランナーが2人いる場合。この場合はフォース状態とそうでない状態で分かれます。
フォース状態の時
ランナーが一1塁2塁の時に打者が打って、打球判断等で2塁ランナー2塁ベースについており、1塁ランナーが2塁に到達しているときは、先ほどの「1塁に2人いる場合」の考え方と同じです。
打者が1塁への占有権を有し、1塁走者が2塁の占有権を有しているので、2塁ランナーは3塁に送球されるか、タッチされればアウトになります。
フォース状態でない時
ランナーが2塁の時に、打者が打って2塁まで到達。2塁にもともといたランナーが挟まれるなどして2塁に戻って、打者走者も2塁にいるようなとき、2塁には2人いることになります。
ただ、この場合1塁には誰もいません。
この場合は、2塁ランナーが3塁に進むか戻るかを決める権利があります。つまり占有権は2塁ランナーにあることになります。そのため、2塁ベース上で2塁ランナーにタッチしてもアウトにはなりません。
逆に打者走者の方をタッチするとアウトにすることができます。
3塁に2人いる場合
もうここまでくるとこれまでの応用なので、難しくありません。
満塁で打者が打って3塁ランナーが3塁に戻って、2塁ランナーが3塁に行った時はフォース状態なので、占有権は2塁ランナーにある。そのため、3塁ランナーにタッチしたらアウト。
満塁以外の時は3塁にランナーが2人いても、フォース状態にはなりません。
この場合は3塁ランナーに占有権があるため、3塁ランナーにタッチしてもアウトにはできず、3塁ベース上で2塁ランナーににタッチすればアウトにすることが出来ます。
要するにフォース状態か否かでタッチする相手が変わる
このルールさえ覚えておけば、どっちのランナーにタッチするか迷うことはありません。
ただ、こういった状況になった時はどちらかのランナーがベースから離れることがほとんどです。
ランナーが塁から離れた場合にはアウトにする順番なども変わってきますので、そのあたりのルールもまた解説したいと思います。
ランナーが2人同じ塁にいてもあわてたらあかんでー