第4のアウトって聞いたことありますか?
「第4のアウト」ってなんなんや。。
みなさん、「第4のアウト」って聞いたことありますか?
正確に言うとタイトルにある通り、「第3アウトの置き換え」と言います。
プロでもアマチュアでもなかなかお目にかかることができないプレーなんですが、
2019年度の秋田県大会の決勝でこのプレーが起こったこともあったので、
取り上げてみたいな~と思いました。
このルールを一躍有名にしたのはある有名野球漫画
野球漫画の「ドカベン」は皆さん知っていますか?
オールドファンなら皆知っている超有名な野球漫画です。
かくいうわたしもこの漫画は繰り返して読んでいました。懐かしい思い出です。
「ドカベン」は水島新司さんが描いている野球漫画の金字塔やで。
そのドカベンの中で実際にこの「第3アウトの置き換え」が描かれており、
野球ファンでこのルールを知るきっかけになったのは、このストーリーだった、
という人はむちゃくちゃ多いんじゃないかと思います。
第3アウトの置き換えはどのような場面で起こるのか
今回2019年度の秋田県大会決勝で起こった実際のケースで説明します。
2019年度 秋田県大会決勝 明桜高校 対 秋田中央高校
11回表 4対4 明桜高校の攻撃 ワンアウトランナー満塁
ちょこーんとバットに当てたボールがセンターとライトとセカンドの間にふらふら~っと上がる。
ライトがスライディングキャッチ。(ここでツーアウト)
セカンドランナーもサードランナーも飛び出している。 (タッチアップしていない)
ライトはタッチアップをされると思ったようで、バックホームする。
その送球をピッチャーがカット。(この時サードランナーはこの間にホームベースを踏んでいる)
ピッチャーはセカンドへ送球し、スリーアウト。
普通のプレーやないか。。。
ここまではたしかにそうです。
しかし肝心なのはここからです!
守っていた秋田中央高校の選手たちはピンチを脱出したので喜び勇んでベンチへ帰っていく。
しかし、秋田中央高校のベンチから「置き換え!!」という指示が飛ぶ。
それに気づいたピッチャーがサードへ投げろとジェスチャー。
ボールがサードに送られ、審判にアピール。審判はアウトを宣告(フォーアウト??)
11回表 明桜高校の攻撃は0点で終わりました。
最後サードでのアピールプレーで審判がジャッジをします。
通常スリーアウトになったら、ここでアピールしても審判は何もジャッジしないですね。
なんでアピールしたんや。。。
このサードでのアピールプレイが「第3アウトの置き換え」になります。
セカンドに送球してアウトにしたスリーアウトにあたるアウトを、
サードに送球してアウトにしたものをスリーアウトとして扱います。
置き換えることで何が起こるのか
確かに今の説明だけでは
置き換えて何があるんや!
今の説明だけではそうなるのも無理はありません。
ではもう1つ例を挙げます。
2012年度 第94回全国高等学校野球選手権大会 2回戦 鳴門高校 対 済々黌高校
7回裏 1対2 済々黌高校の攻撃 ワンアウトランナー1塁3塁
強烈なライナーがショートの上を襲うが、ショートがダイレクトでジャンピングキャッチ!(ツーアウト)
1塁ランナーはヒットエンドランでスタートを切っていたため、2塁塁上まで飛び出している。
ショートはゆっくり1塁に送球。
(サードランナーは打った瞬間飛び出しているためタッチアップせず、この間にホームベースを踏んでいる)
ファーストがボールを受け取りスリーアウト。
さっきといっしょやないか!!
そうですね。。。
しかし!違うのはここからです!
守っていた鳴門高校の選手たちはピンチを脱出したので喜び勇んでベンチへ帰っていく。
7回裏 済々黌高校の攻撃は1点で終わりました(!!)。
第3のアウトをとる、とらないの違い
差はおわかりいただけましたね。
第3のアウトを取らんかったら、点が入ってしまうんや!
ではなぜ「第3のアウト」を取らないと点数が入ってしまうのか。
それは「タイムプレイ」と呼ばれるものによります。
そのイニングにおける第3のアウトが成立しても、それより先に走者が本塁に達していれば、
走者の得点が認められるというものです。
しかしフォースプレイのときはタイムプレイの対象外となります。
ワンアウト満塁で6-4-3のダブルプレーの場合は、三塁ランナーが先にホームインしていても、
得点は入りません。
ただ、3-6 のダブルプレーの場合、つまり、ファーストゴロで一塁を踏んで、
その間に三塁ランナーがホームインし、セカンドへ送球してタッチプレーで、
一塁ランナーがアウトになった場合は得点が入ります。
これは一塁をアウトにした時点でフォース状態が解除され、タイムプレイとなるからです。
今回例に上げたケースではフォースプレイでなく、スリーアウトが取られる前に、
3塁ランナーがホームインしているため、第3アウトの置き換えがなければ、
得点が認められることになります。
もちろん三塁ランナーのホームインが第3のアウトより遅かった場合は、得点は認められません。
3塁ランナーはタッチアップをしていないが大丈夫なのか
そうなんです。
次に疑問として挙がるのは、
3塁ランナーはタッチアップしてないんやで
ということです。
ただ、これは単純です。
通常のタッチアップのケースでも3塁ランナーのリタッチ(ベースから足を離す)が早かった場合は、
3塁の審判にリタッチが早かったよ、とアピールして認められればアウトになりますね。
しかし、このアピールをもししなかった場合を考えてみてください。
アウトにもならずそのまま得点になるはずです。
今回のケース、前者では第3のアウトの置き換えによって、サードでアウトにしていますが、
後者では第3のアウトの置き換えをしておらず、3塁ランナーに関するアピールがない状態なので、
アウトにならずそのままホームインが認められることになります。
ちなみこの第3アウトの置き換えのルールは公認野球規則5.09(c)の中に記されています。
要約すると、第3アウトが成立した後でもほかのアピールアウトできるプレイがあり、審判員がそのアピールを認めればその回の第3アウトと入れ替えることが出来る。という内容です。
タッチアップの方が早くホームインした場合
少し余談ですが、
ほな3塁ランナーが普通にタッチアップして、第3のアウトより先にホームインしてたらどないなるんや。。
そんな風に思った方もいるのではないかと思います。
この場合は第3アウトの置き換えができないので、そのまま得点になります。
なので、守備側としては、バックホームでタッチアップを刺さない場合は、
三塁ランナーがホームインする前に、第3のアウトを取らなければいけない、ということになります。
野球のルールは奥が深い
難しい野球のルールもあるんやな
このルールは一瞬思いつかないんです。
1つ目のケースでは実況と解説をしていた方も第3のアウトには一切触れず、
セカンドですでにアウトになってますよね~。という説明をしており、
審判団からの説明があってもそのままスルーされていました。
2つ目のケースでは得点が入ったことにより、審判団から説明があって、
ようやく実況と解説がその件に触れた、という状態でした。
(済々黌高校のメンバーはこの場面でこのプレーを理解して実践していたんだそうです。すばらしい!)
そのぐらいパッと状況が整理できないプレーなんですね。
こういった状況ではランナーが飛び出すというのは非常に珍しいケース
(普通だったら飛び出さずに戻るはずなので)
なので、草野球などではめったに現れない場面だと思いますが、知っていて損はないと思います。
でも、審判団が理解していない、なんて状況もおこるかもしれませんね。
今回はちょっと野球の特別なルールに触れてみました!