2020年9月3日の ヤクルト VS 阪神 でヤクルトのマクガフ投手がランナー2・3塁でランナーのいない1塁に牽制球を投げるという珍しいプレーがありました。もちろんランナーがいないので、ファーストは牽制に入っておらず、送球はファールゾーンを転々と転がり、ランナーが全員帰ってくるという出来事がありました。
ランナーがいない塁に牽制を投げるのはボーク
通常、ランナーのいないところに牽制球を投げると
ボークちゃうんか!!!
となります。ボークじゃないの?と思った方、いますよね?
基本的には野球規則6.02(a)(4)の通りなのでボークで正しいです。
ここまでは認識されている方は多いと思います。
ボークの時点でボールデッドではない
ボークの時点でボールデッドになっているのではないか、と思う方がいらっしゃると思います。
ほとんどの場合でボークはピッチャーがセットポジションに入って体の一部が動いてしまうなどのことが多く、その時点でプレーが止まることがほとんどのためそのような認識になっていますが、実はそうではありません。
ボークを行ったことによって、安全進塁権が1つ与えられるのですが、ボークの後もプレイが続いた場合に、攻撃側に有利な出来事が起こる場合はそのプレーが有効になります。(サッカーなどで言うアドバンテージは近い表現ではないかと思います。)
今回のように悪送球の場合もですが、四球、死球、ヒット、エラーなどで打者が走者として出塁するなどの場合、そのプレーが有効になります。
ただし、打者がアウトになるような場合は打撃はノーカウント、通常のボークとなり走者は1つの進塁権が与えられることになります。(攻撃側がボークの状況よりも不利になる場合は通常のボークとなります。)
ボークで悪送球の場合はどうなるか
今回はランナーのいない塁に牽制をした時点でボークです。しかし、悪送球となりました。
野球規則に、規則説明として追記されている内容がありまして、ボークした際、悪送球(エラーなども含む)した場合はボークで進める塁(テイクワンベース)より先の塁にアウトを賭して進んでも良いことになっています。
「アウトを賭して」となるので、安全進塁権より先に進もうとした時点で、返球によってアウトにされるリスクが生じます。
アウトになる可能性が出るのは安全進塁権より先の塁に進もうとしたプレーのみです。ボークによって与えられた安全進塁権まではアウトにされることはありません。
なので今回の場合は2塁ランナーも本塁まで生還して問題ない、ということになります。
ただし、三塁ベースを回った時点で安全進塁権が終わるので、そのあとはアウトになる可能性があります。
本塁でタッチプレーあるいは三塁へ戻ってタッチプレーでアウトになる可能性があるということです。
今回のプレーまとめ
では今回の ヤクルト VS 阪神 での事象をまとめてみましょう。
・マクガフ投手がランナーのいない1塁に牽制を投げた時点でボーク
・3塁ランナーは本塁への安全進塁権があるため、アウトにされることなく本塁へ行くことが可能
・2塁ランナーは3塁への安全進塁権があるため、アウトにされることなく3塁へ行くことが可能
・悪送球でプレーが続いているので、2塁ランナーは3塁を回って本塁への突入を試みる
(3塁回った時点でアウトになる可能性が生じる)
・アウトにされることなく2塁ランナーがホームイン。得点が認められる。
なかなか珍しいプレーやったから覚えといてや~