送球や打球は通常何も邪魔が入らず野手のグローブに収まるものですが、もしこれらがなんらかの行為などによって妨げられた場合はどうなるのでしょうか。故意や過失など様々な要因はありますが、そのようなケースについて解説してみたいと思います。
打球・送球が妨げられた場合の安全進塁権のパターン
まず打球・送球が妨げられた場合の安全進塁権はどのようなものがあるのか列挙してみましょう。
与えられる塁 | 内容 | 公認野球規則 記載箇所 |
---|---|---|
本塁(4つ) | 明らかにホームランの打球にグラブ・帽子・その他着衣の一部などを投げてボールの進路を変えた場合 | 5.06b(4)(A) |
3つ | 帽子・マスク・その他着衣の一部を本来つけている箇所から離して、またはグラブを故意に投げて【フェアボール】に故意に触れさせた場合 | 5.06b(4)(B) 5.06b(4)(C) |
2つ | 帽子・マスク・その他着衣の一部を本来つけている箇所から離して、またはグラブを故意に投げて【送球】に故意に触れさせた場合 | 5.06b(4)(D) 5.06b(4)(E) |
状況によっていろんなケースがあるんやで!
4つの塁が与えられる場合
これは、打者が打った打球に対して守備側がグラブ・帽子・その他着衣の一部を投げて明らかにホームランの打球をスタンドに入らせないようにした場合に発生します。
現実的に考えられるのは、外野手がもう取れないであろう高い打球に対して、グラブ・帽子・その他着衣の一部を放り投げて命中させて、スタンドインを防ぐということでしょう。
この場合は審判の判断で4つの塁が与えられる、つまりホームランになります。
要するにスタンドインしそうな打球にグラブなどをぶつけて阻止しても何の意味もないということになりますね。
3つの塁が与えられる場合
これは前述の明らかなホームランの打球以外のフェアゾーンに飛んでいる打球に対して守備側が帽子・マスク・その他着衣の一部を本来つけている箇所から離して【フェアボール】に触れさせる、またはグラブを投げつけて【フェアボール】に触れさせた時に発生します。
帽子・マスク・その他の着衣はもともと着けている位置で触れた場合はこれに該当しません。
例えばピッチャーライナーで帽子に当たったなどのケースは問題ありません。
また、これは【故意】つまりわざとやった場合が対象です。
避けれない状態やわざとでない場合などは該当しません。
例えば打球に飛びついた時に手からグローブがすっぽ抜けて当たってしまった場合などは該当しません。
この3つの塁が与えられるケースが適用される例としては、
- 打球を帽子で捕球する
- キャッチャーのマスクでフェアボールの打球を止める
- 打球に追いつけないのでグローブを投げて止める
のようなことが考えられます。
ちなみにこの場合はボールデッドではなく【ボールインプレイ】になります。
3つの塁が与えられた後、次の塁にアウトを賭して進塁しても良い状態です。
ボールインプレイ中の安全進塁権に関しては以下の記事で解説していますので、こちらも確認してみてください。
2つの塁が与えられる場合
前述の4つまたは3つの塁が与えられるケースは「フェアボール」の打球が対象だったのですが、2つの塁が与えられる場合はその対象が【送球】になります。
対象が【送球】になること以外は行為としては同じです。
【送球】に対して帽子・マスク・その他着衣の一部を本来つけている箇所から離して触れさせる、またはグラブを投げつけて触れさせた時に発生します。
こちらも3つの塁が与えられる場合と同じく、ボールインプレイとなります。
打球・送球には自分の体とグローブ以外はつかってはいけない
今回は打球・送球が守備側に妨害されたケースについて解説しました。
ご覧いただいたように正規の方法以外で打球・送球を妨害した場合は攻撃側に大きく有利な裁定が下ります。
くれぐれもそのような行為の無いように守備の時にはきちっとグローブを使って処理するようにしましょう。
届かないからと言ってグローブ投げてゴロ止めたりしたらあかんでー